むしろ俺は、お前が相変わらずで安心したよ。
昨日『サンクチュアリ』の活動拠点、あの魔法陣の前で。
珍しく、危機感のある発言をしていたからな。
あれに近寄るな、と。
あのときは、ベリクリーデがベリクリーデじゃなくなったみたいで、肝を冷やしたもんだが。
翌日になったら、こうして謎のバレエレッスンを始めている。
「…ほっ…。…あれ」
そして、何度も爪先立ちを繰り返しては、2秒足らずで崩れている。
全ッ然出来てない。
それと。
「…新体操はやめたのか?」
前は、新体操やってなかった?
今度はバレエに転向したのか。
「うん。ジュリスが何だか不評みたいだったから…」
俺のせいなのか?
「今度は、こっちにした」
そう言って、ベリクリーデはサッ、と一冊の本を見せてきた。
タイトルはもう、言わなくても分かるな?
『猿でも分かる!初めてのバレエ』
うん、知ってた。
あと、本一冊で始めるものではない。
「新体操の本の横に置いてあったから、一緒に買ったんだー」
「あ、そ…」
そんなことだろうと思ってたよ。
「なんだか大変なことになったから、こんなときこそ、柔軟にならないとね」
そう言って、ベリクリーデは本を開き。
今度は爪先立ちのまま、くるくる回り始めた。
が、爪先立ちだと難しいのか(当たり前)、すぐにガクンと踵が落ちる。
「あぅ〜…」
…そりゃ初心者で、しかも本一冊でピルエットなんて、そう簡単に出来るかよ。
あとな、前も言ったけど。
身体を柔軟にしても、仕方ないからな?
頭だよ、頭。頭の方を柔軟にしろ。
…って言っても、ベリクリーデには通じんだろうなぁ…。
と、俺は自分の髪の毛をくしゃり、とかき上げ。
溜め息混じりにベリクリーデに言った。
「なぁ、ベリクリーデ」
「なにー?」
「お前昨日、あの魔法陣と水晶玉を見て、あれに近寄ったら駄目だって言ったよな?」
シルナ・エインリーが沈黙するなら。
他に手がかりになる人物は、あれを「神に触れる力」だと断言した、ベリクリーデくらいだ。
羽久・グラスフィアも、ベリクリーデほどではないにせよ、少なからずあれに反応していた。
頼りない手がかりだが、今はどんな手がかりでも、ないよりはマシだ。
すると。
「魔法陣?」
「床に、赤い奇妙な模様が浮き上がってただろ。あれに近寄るなって言ったんじゃないのか」
「あぁ、あの落書きみたいなの?あれは何ともないよ」
魔法陣を落書き呼ばわりかよ。
いや、それより。
「魔法陣は、危険じゃないのか?」
俺はてっきりあの魔法陣と、水晶玉がセットで危険だと言っているのかと、そう思っていたが…。
違うのか?
昨日『サンクチュアリ』の活動拠点、あの魔法陣の前で。
珍しく、危機感のある発言をしていたからな。
あれに近寄るな、と。
あのときは、ベリクリーデがベリクリーデじゃなくなったみたいで、肝を冷やしたもんだが。
翌日になったら、こうして謎のバレエレッスンを始めている。
「…ほっ…。…あれ」
そして、何度も爪先立ちを繰り返しては、2秒足らずで崩れている。
全ッ然出来てない。
それと。
「…新体操はやめたのか?」
前は、新体操やってなかった?
今度はバレエに転向したのか。
「うん。ジュリスが何だか不評みたいだったから…」
俺のせいなのか?
「今度は、こっちにした」
そう言って、ベリクリーデはサッ、と一冊の本を見せてきた。
タイトルはもう、言わなくても分かるな?
『猿でも分かる!初めてのバレエ』
うん、知ってた。
あと、本一冊で始めるものではない。
「新体操の本の横に置いてあったから、一緒に買ったんだー」
「あ、そ…」
そんなことだろうと思ってたよ。
「なんだか大変なことになったから、こんなときこそ、柔軟にならないとね」
そう言って、ベリクリーデは本を開き。
今度は爪先立ちのまま、くるくる回り始めた。
が、爪先立ちだと難しいのか(当たり前)、すぐにガクンと踵が落ちる。
「あぅ〜…」
…そりゃ初心者で、しかも本一冊でピルエットなんて、そう簡単に出来るかよ。
あとな、前も言ったけど。
身体を柔軟にしても、仕方ないからな?
頭だよ、頭。頭の方を柔軟にしろ。
…って言っても、ベリクリーデには通じんだろうなぁ…。
と、俺は自分の髪の毛をくしゃり、とかき上げ。
溜め息混じりにベリクリーデに言った。
「なぁ、ベリクリーデ」
「なにー?」
「お前昨日、あの魔法陣と水晶玉を見て、あれに近寄ったら駄目だって言ったよな?」
シルナ・エインリーが沈黙するなら。
他に手がかりになる人物は、あれを「神に触れる力」だと断言した、ベリクリーデくらいだ。
羽久・グラスフィアも、ベリクリーデほどではないにせよ、少なからずあれに反応していた。
頼りない手がかりだが、今はどんな手がかりでも、ないよりはマシだ。
すると。
「魔法陣?」
「床に、赤い奇妙な模様が浮き上がってただろ。あれに近寄るなって言ったんじゃないのか」
「あぁ、あの落書きみたいなの?あれは何ともないよ」
魔法陣を落書き呼ばわりかよ。
いや、それより。
「魔法陣は、危険じゃないのか?」
俺はてっきりあの魔法陣と、水晶玉がセットで危険だと言っているのかと、そう思っていたが…。
違うのか?


