神殺しのクロノスタシスⅣ

「『サンクチュアリ』の…あの部屋にあった、水晶玉と魔法陣」

俺は、あの現場を思い出しながら言った。

俺にはさっぱり分からない代物だったが…。

「シルナは、あれ、知ってるんだろ?」

これまでも、確信はあったけど。

直接本人に尋ねたのは初めてだ。

シルナはハッとして、そしてバツの悪そうな顔をしたけれど。

「…」

やはり何も答えず、視線を逸らした。

やっぱり聞かれたくないことなんだな。

一体、何がシルナをそう頑なに沈黙させているのかは、分からないけど…。

「…別に、責めてる訳じゃない」

そんなつもりは、全くない。

シルナが言いたくないことなら、無理に聞くつもりはない。

俺は。

「何でも良いよ、シルナが何を隠してるんだとしても…。俺はシルナを信じてるからな」

「…羽久…」

「あんな石ころの正体なんて、どうでも良い。それより、いなくなった四人を探す方が先決だ。そうだろ?」

『サンクチュアリ』の企みが何だろうと。

あの魔法陣と水晶玉の正体が何だろうと。

そんなことはどうでも良い。

いなくなった四人を探すこと。それ以上に大切なことは何もない。

「だから、あんまり一人で気負うなよ。イレースじゃないけど…お前があんまり沈んでたら、こっちも調子狂う」

「…そう、だよね。ごめん…」

何謝ってんだ。

「お前が悪い訳じゃないだろ。堂々としてろよ」

「…うん…。ありがとう、羽久…」

何礼言ってんだ。

「礼なんて必要ない。俺は、お前の相棒なんだからな」

シルナが背負ってることなら、俺も一緒に背負うし。

痛みも苦しみも、全部共有する。

だから、一人で落ち込む必要はないのだ。