「いつもうるさいのが静かだと、逆に違和感がありますね」
イレース、本人を前にしても、全く容赦なし。
お前って奴は…。
「き、昨日帰ってからですよね…?魔導部隊大隊長の方がいなくなった、とか…」
「えぇ。戦力が必要なら、我々も手を貸せますが…。さすがに、行方不明の捜索は私も専門外です」
「…僕も…」
大丈夫だ、天音。俺もだから。
「まぁ、静かだろうが騒いでいようが笹を食べていようが、仕事は仕事です。これ、明日までにお願いしますよ」
「え、う、うん…」
イレースは意気消沈しているシルナの前に、ドサッ、と書類の束を置いた。
…本当に容赦ない。
と、思ったが。
「まぁ、仕事でもやっていれば、少しは気も紛れるでしょう」
…何のことはない。
これも、イレースなりの気遣いなのだろう。
とりあえず、何でも良いから少し気を逸らせ、と。
そうすれば、少しは気持ちも落ち着くだろう、と。
…イレースは鬼教官ではあるが、鬼ではない。
まぁ、単に「仕事しろよ」って意味なのかもしれないが。
イレースの言う通り、他に没頭することがあれば、少しは気も紛れるだろう。
そして。
「あの…学院長先生」
天音が、シルナに声をかけた。
「何か…僕に…手伝えることがあったら、何でも言ってくださいね」
「…」
「僕に出来ることなら…何でも手伝いますから」
「…天音君…それに、イレースちゃんも…」
気を遣わせている、と思ったのか、シルナは少し顔を上げた。
「…ありがとうね」
そして、ようやくほんの少しだけ、笑みを浮かべて言った。
…良かった。
笑うくらいの気力は、残っていたんだな。
「私は自分の仕事をしているだけです」
「そんな。気にしないでください」
イレースも、天音もそう言って。
俺とシルナを残して、学院長室を出ていった。
…それで。
俺はこの部屋で、シルナと二人きりになった訳だが…。
俺はシルナに、何か言葉をかけるべきなんだろう。
シルナが望んでいるのがどんな言葉なのか、俺には分からない。
だから、月並みなものになってしまうかもしれないが…。
…でも、何も言わないよりはマシだ。
「…なぁ、シルナ」
俺は、シルナにそう話しかけた。
イレース、本人を前にしても、全く容赦なし。
お前って奴は…。
「き、昨日帰ってからですよね…?魔導部隊大隊長の方がいなくなった、とか…」
「えぇ。戦力が必要なら、我々も手を貸せますが…。さすがに、行方不明の捜索は私も専門外です」
「…僕も…」
大丈夫だ、天音。俺もだから。
「まぁ、静かだろうが騒いでいようが笹を食べていようが、仕事は仕事です。これ、明日までにお願いしますよ」
「え、う、うん…」
イレースは意気消沈しているシルナの前に、ドサッ、と書類の束を置いた。
…本当に容赦ない。
と、思ったが。
「まぁ、仕事でもやっていれば、少しは気も紛れるでしょう」
…何のことはない。
これも、イレースなりの気遣いなのだろう。
とりあえず、何でも良いから少し気を逸らせ、と。
そうすれば、少しは気持ちも落ち着くだろう、と。
…イレースは鬼教官ではあるが、鬼ではない。
まぁ、単に「仕事しろよ」って意味なのかもしれないが。
イレースの言う通り、他に没頭することがあれば、少しは気も紛れるだろう。
そして。
「あの…学院長先生」
天音が、シルナに声をかけた。
「何か…僕に…手伝えることがあったら、何でも言ってくださいね」
「…」
「僕に出来ることなら…何でも手伝いますから」
「…天音君…それに、イレースちゃんも…」
気を遣わせている、と思ったのか、シルナは少し顔を上げた。
「…ありがとうね」
そして、ようやくほんの少しだけ、笑みを浮かべて言った。
…良かった。
笑うくらいの気力は、残っていたんだな。
「私は自分の仕事をしているだけです」
「そんな。気にしないでください」
イレースも、天音もそう言って。
俺とシルナを残して、学院長室を出ていった。
…それで。
俺はこの部屋で、シルナと二人きりになった訳だが…。
俺はシルナに、何か言葉をかけるべきなんだろう。
シルナが望んでいるのがどんな言葉なのか、俺には分からない。
だから、月並みなものになってしまうかもしれないが…。
…でも、何も言わないよりはマシだ。
「…なぁ、シルナ」
俺は、シルナにそう話しかけた。


