「…」
シルナは、しばし考えるようにして、無言だった。
しばらくの沈黙が続いた後、シュニィは堰を切ったように言った。
「…あ、あの。申し訳ありません。その…あまり思い出したくないことなら、無理にとは…」
シルナにとって、神々の知識…つまり。
イーニシュフェルトの里にいたときの記憶は、努めて思い出したくないものだろうと思ったのか。
シュニィは、慌てて引き下がろうとした。
しかし。
「いや…大丈夫だよ」
ようやく、シルナがそう口を開いた。
「思い当たる節が…全くない…訳じゃない」
「…!それは…」
「でも、実際に目にしてみないことには、判断出来ない…。その水晶玉は、今何処に?」
そうだ、水晶玉の今の在処。
ちゃんと確認しておかないと、五人目、六人目の被害者が出るぞ。
どうやら魔法陣には、謎の発動条件があるようだが。
間違って魔法陣の中に立って、また行方不明者が増えました、なんて洒落にならない。
しかし、そこはシュニィ、抜かりはなかった。
「持ち出すのは危険ですから、その場に安置しています。『サンクチュアリ』の建物は…聖魔騎士団が包囲して、誰も入れないように見張っています」
成程、さすが。
それなら、更なる被害者が出ることもなかろう。
「分かった。じゃあ…ちょっと、行ってみても良いかな?見せてもらうこと、出来る?」
「あ、はい。勿論です。学院長先生なら…」
学院長先生なら…か。
「悪いが、シルナが行くなら、俺もついていくぞ」
もし何かあって、シルナが消えてしまったら。
今度は、俺が自分を許せない。
しかしシュニィは、それも分かっているという風に頷いた。
「はい、大丈夫です…。お二人で来てください」
良かった。
俺も同伴して良いそうだ。
「しかし…羽久さん」
「ん?」
「このようなことは、羽久さんにとっては辛いかもしれませんが…。ベリクリーデさんがあの水晶玉に反応したということは、恐らく…あなたも…」
…あぁ。
シュニィの言わんとすることは分かる。
俺も多分、その水晶玉とやらに反応するかもしれない、って言いたいんだろう?
上等だ。
「分かってる。大丈夫だ」
「…宜しく、お願いします」
シュニィは、再び深々と頭を下げた。
だから、それやめろって。
気にするなよ。
聖魔騎士団や、消えた四人の為にも。
この一大事に、俺達が何もしないとあっては…自分で自分を許せないからな。
「それじゃ…案内してもらえるかな」
「分かりました」
俺とシルナ、そしてシュニィは。
イレース達に学院を任せて、『サンクチュアリ』の活動拠点とやらに向かった。
シルナは、しばし考えるようにして、無言だった。
しばらくの沈黙が続いた後、シュニィは堰を切ったように言った。
「…あ、あの。申し訳ありません。その…あまり思い出したくないことなら、無理にとは…」
シルナにとって、神々の知識…つまり。
イーニシュフェルトの里にいたときの記憶は、努めて思い出したくないものだろうと思ったのか。
シュニィは、慌てて引き下がろうとした。
しかし。
「いや…大丈夫だよ」
ようやく、シルナがそう口を開いた。
「思い当たる節が…全くない…訳じゃない」
「…!それは…」
「でも、実際に目にしてみないことには、判断出来ない…。その水晶玉は、今何処に?」
そうだ、水晶玉の今の在処。
ちゃんと確認しておかないと、五人目、六人目の被害者が出るぞ。
どうやら魔法陣には、謎の発動条件があるようだが。
間違って魔法陣の中に立って、また行方不明者が増えました、なんて洒落にならない。
しかし、そこはシュニィ、抜かりはなかった。
「持ち出すのは危険ですから、その場に安置しています。『サンクチュアリ』の建物は…聖魔騎士団が包囲して、誰も入れないように見張っています」
成程、さすが。
それなら、更なる被害者が出ることもなかろう。
「分かった。じゃあ…ちょっと、行ってみても良いかな?見せてもらうこと、出来る?」
「あ、はい。勿論です。学院長先生なら…」
学院長先生なら…か。
「悪いが、シルナが行くなら、俺もついていくぞ」
もし何かあって、シルナが消えてしまったら。
今度は、俺が自分を許せない。
しかしシュニィは、それも分かっているという風に頷いた。
「はい、大丈夫です…。お二人で来てください」
良かった。
俺も同伴して良いそうだ。
「しかし…羽久さん」
「ん?」
「このようなことは、羽久さんにとっては辛いかもしれませんが…。ベリクリーデさんがあの水晶玉に反応したということは、恐らく…あなたも…」
…あぁ。
シュニィの言わんとすることは分かる。
俺も多分、その水晶玉とやらに反応するかもしれない、って言いたいんだろう?
上等だ。
「分かってる。大丈夫だ」
「…宜しく、お願いします」
シュニィは、再び深々と頭を下げた。
だから、それやめろって。
気にするなよ。
聖魔騎士団や、消えた四人の為にも。
この一大事に、俺達が何もしないとあっては…自分で自分を許せないからな。
「それじゃ…案内してもらえるかな」
「分かりました」
俺とシルナ、そしてシュニィは。
イレース達に学院を任せて、『サンクチュアリ』の活動拠点とやらに向かった。


