「一体…何が…起こったんですか?」

クュルナが、未だ赤く輝いている魔法陣を見ながら、呆然と呟いた。

…ここにいる、全員が聞きたいだろうよ。

「…!アトラスさん!すぐ魔法陣から出てください!」

ハッと我に返ったシュニィが、アトラスに叫んだ。

その声でアトラスも我に返ったらしく、すぐに魔法陣から離れた。

シュニィはすぐさま、俺から離れ、アトラスにしがみついた。

「アトラスさん…!」

「シュニィ…。…大丈夫か?突き飛ばして悪かった…」

「私は…私は平気です。でも…皆さんが…」

「落ち着け、大丈夫だ…。何があっても、お前だけは俺が守る」

アトラスは、そう言ってシュニィを抱き締めた。

…アトラスが突き飛ばして、シュニィを魔法陣の外に出していなければ。

恐らく、今頃シュニィも消えていただろう。

「良いか、皆…近寄るな。絶対あの魔法陣には入るな」

俺は、残った六人に向かってそう言った。

恐らくあの魔法陣に近寄れば、消されてしまうのだ。

だとしたら、絶対に魔法陣には近寄っちゃいけない。

でも…。

「何で、アトラスだけ消えなかった…?」

アトラスはシュニィを突き飛ばす為に、自ら魔法陣に取り残された。

それなのに、アトラス一人だけは消されなかった。

これはどういうことなんだ?

いや、それよりも…。

「この魔法陣は…一体…」

「…近寄っちゃ駄目だよ」

え?

ベリクリーデが、魔法陣を見ながら言った。

近寄ったら駄目って、そんなことは分かって…。

しかしベリクリーデは、真顔で魔法陣を指差した。

いや、指差したのは、魔法陣ではない。

その奥に鎮座した、赤い輝きを放つ水晶玉だ。

「ベリクリーデ…?」

「あれは駄目だよ。あれは…神に触れる力だから」

「…!」

神に…触れる、力?

それって…。

もしかして…俺達は…。

予想していた以上に…遥かに…危険な力に触れてしまったと言うのか?