アトラスは真っ先に会議室に入り、辺りを見渡した。

「…驚くほど何もないな…。何も仕掛けられていないのか?」

「油断なりませんよ。何があるか…」

アトラスに続き、シュニィが会議室に入る。

更に。

「爆発物を所持しているのは、確かなはずですが…」

「それな。いきなりドカーン、とかやめてくれよマジで」

「ドカーン、くらいで死にませんけどね。俺達」

吐月、キュレム、ルイーシュの三人が、会議室に入る。

本当に…何もなさそうだな…。

俺達は準備万端で来たっていうのに…。

ここまで何もないと、むしろ不気味な気が…。

「…」

無言で、無闇が会議室に入る。

やはり何も起きない。

「逃げるのに必死で、トラップを仕掛けている余裕さえなかったんでしょうか?」

「分かりません…。一応、探索魔法で…」

クュルナが問いかけ、エリュティアが会議室の一歩手前で、探索魔法を使おうと杖を握った。

…そのとき。

「…ジュリス、あれ何?」

「ん?」

ベリクリーデが、会議室の奥を指差した。

あれ、って…?

ベリクリーデの指差す先には、拳大ほどの大きさの水晶玉らしきものが置いてあった。

…何だ、あれ…。

そう思った、瞬間だった。





突如として、会議室の床に、赤い魔法陣が浮かび上がった。