それで。
「ヘーゼル、他の生徒は知らないか?南方都市から来てる生徒が、軒並み帰ってきてないんだ」
「あ、はい…。多分み、」
と、ヘーゼルが答えようとした瞬間。
生徒、の言葉を聞くなり、シルナがびくっとして、ヘーゼルの両肩を掴んだ。
「何処にいるの他の生徒!私の生徒は!?」
「ひっ」
まるで、鬼のような形相になっているシルナ。
この、馬鹿。
「やめろこの馬鹿!びびらせてどうする!」
俺は、強引にシルナをヘーゼルから引き離した。
ごめんな、小汚いおっさんに鬼気迫る顔で迫られて、びっくりしただろう。
「だって、だって!私の生徒が!」
「分かったから引っ込んでろ、アホかお前は」
怖がらせてどうするんだよ。ただでさえこのイレギュラーな状況なのに。
「ごめんな、ヘーゼル。シルナは気にしないで、知ってる範囲で良いから教えてくれないか」
「は、はい…。あの、でも…私もよく分からないんです。何せ、シャネオンに着いてから、ずっとこんな調子で…」
…あー…。
「知ってるクラスメイトがいないか、探しはしたんですけど…全然見つからなくて…。…ごめんなさい…」
「そうか、分かった。お前が悪いんじゃないからな」
この人混みだ。知り合いを探そうにも、身動きの一つも取れなかったのだろう。
無理もない。
「でも、始発から止まってるって聞いたので…。多分南方都市から来てる生徒は、ほとんどの人が、ここで足止めされてるんじゃないかと思います」
「…だろうな」
さっきは、たまたま運良くヘーゼルを見つけられたけど。
多分まだ、この群衆の中に、うちの生徒が紛れているはずだ。
とてもじゃないが、この群衆を掻き分けて、一人一人うちの生徒を見つけるのは無理だ。
もしくは、列車以外の方法を見つけようと、別の場所を彷徨いている可能性もある。
気の毒に。旅行用のスーツケースを持って、あたふたと王都行きの手段を見つけようとしている、生徒の姿を思い浮かべると。
シルナじゃないが、可哀想にもなってくるというもの。
お前ら、無理して急いで帰ってこなくて良いから。落ち着いて、安全な場所で待っててくれ。
「そもそも、何で列車止まってるんだ?」
俺は、ヘーゼルにそう尋ねたが。
「そ、それが…私にも…」
ヘーゼルはそう答えた。
と同時に、駅構内から、おじさんらしき人の怒声が聞こえた。
「何で列車が動かないんだ!理由を説明しろ!」と。
成程、群衆の皆さんも、ろくに説明を受けてないらしい。
それでさっきから、群衆が苛立ってるんだな。
列車が止まるなら止まるで、それなりの説明をしろよ、よ。
だが、説明しようにも、このパニック状態じゃ、構内放送も聞いてもらえるかどうか。
「一度も放送はなかったのか?」
「何度か、スピーカーから駅の人が喋ってたんですけど…。…その…周りの人の声がうるさくて、断片的にしか聞こえなくて…」
まぁ、この人混みじゃ、そうなるだろうな。
皆、気持ちは分かるが、ちょっと落ち着けよ。
「…でも」
と、ヘーゼルは言った。
「ヘーゼル、他の生徒は知らないか?南方都市から来てる生徒が、軒並み帰ってきてないんだ」
「あ、はい…。多分み、」
と、ヘーゼルが答えようとした瞬間。
生徒、の言葉を聞くなり、シルナがびくっとして、ヘーゼルの両肩を掴んだ。
「何処にいるの他の生徒!私の生徒は!?」
「ひっ」
まるで、鬼のような形相になっているシルナ。
この、馬鹿。
「やめろこの馬鹿!びびらせてどうする!」
俺は、強引にシルナをヘーゼルから引き離した。
ごめんな、小汚いおっさんに鬼気迫る顔で迫られて、びっくりしただろう。
「だって、だって!私の生徒が!」
「分かったから引っ込んでろ、アホかお前は」
怖がらせてどうするんだよ。ただでさえこのイレギュラーな状況なのに。
「ごめんな、ヘーゼル。シルナは気にしないで、知ってる範囲で良いから教えてくれないか」
「は、はい…。あの、でも…私もよく分からないんです。何せ、シャネオンに着いてから、ずっとこんな調子で…」
…あー…。
「知ってるクラスメイトがいないか、探しはしたんですけど…全然見つからなくて…。…ごめんなさい…」
「そうか、分かった。お前が悪いんじゃないからな」
この人混みだ。知り合いを探そうにも、身動きの一つも取れなかったのだろう。
無理もない。
「でも、始発から止まってるって聞いたので…。多分南方都市から来てる生徒は、ほとんどの人が、ここで足止めされてるんじゃないかと思います」
「…だろうな」
さっきは、たまたま運良くヘーゼルを見つけられたけど。
多分まだ、この群衆の中に、うちの生徒が紛れているはずだ。
とてもじゃないが、この群衆を掻き分けて、一人一人うちの生徒を見つけるのは無理だ。
もしくは、列車以外の方法を見つけようと、別の場所を彷徨いている可能性もある。
気の毒に。旅行用のスーツケースを持って、あたふたと王都行きの手段を見つけようとしている、生徒の姿を思い浮かべると。
シルナじゃないが、可哀想にもなってくるというもの。
お前ら、無理して急いで帰ってこなくて良いから。落ち着いて、安全な場所で待っててくれ。
「そもそも、何で列車止まってるんだ?」
俺は、ヘーゼルにそう尋ねたが。
「そ、それが…私にも…」
ヘーゼルはそう答えた。
と同時に、駅構内から、おじさんらしき人の怒声が聞こえた。
「何で列車が動かないんだ!理由を説明しろ!」と。
成程、群衆の皆さんも、ろくに説明を受けてないらしい。
それでさっきから、群衆が苛立ってるんだな。
列車が止まるなら止まるで、それなりの説明をしろよ、よ。
だが、説明しようにも、このパニック状態じゃ、構内放送も聞いてもらえるかどうか。
「一度も放送はなかったのか?」
「何度か、スピーカーから駅の人が喋ってたんですけど…。…その…周りの人の声がうるさくて、断片的にしか聞こえなくて…」
まぁ、この人混みじゃ、そうなるだろうな。
皆、気持ちは分かるが、ちょっと落ち着けよ。
「…でも」
と、ヘーゼルは言った。


