神殺しのクロノスタシスⅣ

「え、け、消しゴム…?」

「うん、消しゴムだねー」

俺は、その消しゴムを摘み上げて言った。

学院長は、しばしその消しゴムをぽかんと見つめ。

それから、安堵したように脱力した。

「な、なぁんだ…。ただの消しゴムかぁ…。もう、びっくりさせないでよ」

「びっくりさせて悪いけど、これ爆弾だよ」

「ひぇっ!?」

あ、やっぱり気づいてなかった感じ?

「触ってみなよ。感触が違うから」

俺は、消しゴムのカバーを外して裸にし、学院長に渡した。

学院長は、恐る恐るその消しゴムを手に取り。

むにむに、と消しゴムの感触を確かめた。

「な、何だかゴリゴリする…?」

ほらね。

「うん。形と感触からして、多分小型爆弾だねー」

「『アメノミコト』でも、よく使ってたタイプの爆弾だ」

俺と『八千代』が、順番に言うと。

学院長は、まるで核爆弾でも握ってるみたいな顔をしていた。

…だいじょぶ?

「ば、ばばば、爆弾っ!?ってことはこの消しゴム、爆発するのっ!?」

「する」

爆発しない爆弾なんて、ただの不発弾じゃん。

爆発しなきゃ意味がない。

「で、でも消しゴムサイズなら、大した威力じゃ…」

「そうだね。精々、半径5メートル以内が消し炭になるくらいかな」

「ぶえっ!?」

『八千代』の補足情報に、謎の声を出す学院長。

「爆発と同時に撒き散らされる破片の範囲は、もっと広い。とはいえ消しゴムサイズだから、それも大したことないよ。この教室全体に飛び散るくらい」

「い、一大事でしょうがっ!」

学院長は、消しゴム型爆弾を片手に、そう叫んだ。

「そ、そんな危険なものが、生徒の机の中に入れられてるなんて…!!じゃあ爆弾が爆発したら、ここに座ってる生徒はしっ…死ぬってことでしょ!?」

「うん、死ぬ。何なら、両隣と後ろの席の人も死ぬね」

「その周囲は、精々軽症〜中症くらいかなー」

「そんな、呑気に言ってる場合じゃありませんっ」

何で、俺達が怒られてんの?

「それ、いつ爆発するの!?」

「さぁ〜?これは遠隔操作式だから、いつ爆発するかは分からない。今にも爆発してもおかしくない、けど…」

「わざわざ生徒の机に仕込んでたってことは、多分生徒を殺すのが目的なんだろうから、起爆するのは、生徒が集まって、授業が始まってからだと思う」

と、『八千代』が俺の言いたいことを代弁してくれた。

この位置なら生徒だけじゃなくて、教壇に立ってる教師も、あわよくば巻き込めるもんね。

多分それが目的で、敢えてこの位置に設置したんだろう。

すると。

「も、もっと隈なく探して!お願いだから!そんなものが校内に残されて、もし爆破されたら、イーニシュフェルト魔導学院はおしまいだよ!」

学院長が、かつてないほどに取り乱して言うので。

「はいはい、分かったよ」

俺は、更に糸を増量して、校内の捜索を始めた。