神殺しのクロノスタシスⅣ

…それで。

「俺達に何をさせたいって?」

「そうだね、悪いんだけど…。校内の捜索を頼めるかな?」

捜索?

「あと、一応学生寮も」

…。

校内を隅々まで捜索…って。何そのダンジョン?

「別に良いけど。何があったの?」

『八千代』が尋ねた。

「うん、それがね…。ナジュ君曰く、このオープンスクールに、『サンクチュアリ』からの偵察員が紛れ込んでたらしいんだ」

はー、そうなんだ。

成程ね〜。それでナジュせんせー、来場者全員、順番に読心して回ったんだ。

そりゃ倒れもするよ。馬鹿だなー。

「『サンクチュアリ』って、この間僕達が新聞スッてきた組織だよね?」

「うん、そう…。危険な組織だからね、ないとは思うけど、盗聴器とかカメラとか…。果ては…もっと悪いものまで、校内に持ち込んでるかもしれない」

もっと悪いもの?

ハッキリ言ってくれれば良いのに。

「時限式の爆弾とか、そういうトラップが仕掛けられてないか、確かめてーってことでしょ?」

「…うん。まぁ平たく言えばそうだね」

最初っから平たく言ってよ。

俺達、小さい子供じゃないんだからさ。

「こういう仕掛けや罠については…君達の方が詳しいかな、と思って…。物凄く不本意だし、申し訳ないんだけど…。探してもらえないかな?私も分身を使って、あと羽久やイレースちゃんも、探してはいるんだけど…」

「ダメダメ。君ら、そーいうトラップについては素人でしょ。相手が『本職』なら、素人が分かりそうなところには、絶対仕掛けないよ」

「うっ…。言い返す言葉がない…」

まー、でも、良いよ。

それが分かってるから、俺達を呼んだんでしょ?

なら、期待には応えるよ。

「だって、『八千代』。ちょっと校内探してみよっか」

「うん。『八千歳』の得意分野だよね」

「まーね」

…頭領のお気に入り、とは行かずとも。

『終日組』の元暗殺者は伊達じゃない、ってところを、お見せしてあげようかな。