神殺しのクロノスタシスⅣ

「俺とイレースは、校内に不審物がないか探してこよう」

「分かりました」

それと。

「不本意だが、あいつらも呼んだ方が良いだろう。こういう分野に関しては…俺達より詳しいはずだ」

「…だろうね」

俺は、この場にいない二人のことを考えていた。

大人達でケリをつけると言っておきながら、子供を巻き込むのは非常に不本意だし、不甲斐ない。

でも、今は生徒の安全が第一だ。

万一のことがあったら、取り返しがつかない。

「よし、シルナ。もう一人分身を出すんだ。あいつらを呼びに行かせないと」

「うん、分かった」

それから。

「で、天音はナジュについててやってくれ」

「うん、分かってる」

と、天音は素直に答えたが。

素直じゃない者もいた。

「いや、僕についてる必要ないですから…。天音さんも捜索に…」

「馬鹿」

青い顔して、何言ってんだ。

いくら不死身だからって、放っといて良い訳がない。

「お前に何かあったら、俺達がお前の中のリリスに怒られるんだよ。良いから黙って、医務室に運ばれろ」

そして休んどけ。これ以上、読心魔法を使うな。

案の定お前、今俺の心を読む余裕もなくしてるだろ。

言い返す気力もないのか、憔悴しきった様子で壁にもたれるナジュ。

本当に無茶しやがったな、この野郎。

「天音。この馬鹿を頼む」

「大丈夫、任せて。まず痛み止めの回復魔法を…」

よし。これでナジュは天音に任せて良い。

あとは…。

校内の安全を、確保するだけだ。