神殺しのクロノスタシスⅣ

「その歳でこれだけ出来れば、非常に満足です。見込みは充分ですね」

そう言うと、彼女はパッと顔を輝かせた。

心の中は、安堵と喜びの半々。

「欲を言えば、ちょっとコントロールが荒かったので、そこを修正すると良いですよ。魔法の発動時に、しっかりと的を絞って…。気持ち、出力を弱めるつもりで打つのがコツですね」

「あ、ありがとうございます…!」

彼女の心の中を見るに、どうも魔法の発動時は、火力ばかりを優先して、コントロールが疎かになっているようだったので。

そこを修正すれば、更に繊細な魔法も使えるようになるだろう。

「この調子で、受験も頑張ってくださいね。来年、待ってますよ」

「は、はい…!」

憧れのイーニシュフェルト魔導学院の教師に、自分の魔法を見てもらい。

アドバイスをもらって、しかも称賛の言葉までもらったとあって。

目を輝かせた彼女は、心の中までキラッキラだった。

良かったですね。

彼女は嬉しそうに、後ろで待っていた父兄のもとに走っていった。

恐らく彼女の両親なのだろう、夫婦が娘を囲んで、一緒に喜んでいた。

娘を褒められて、悪い気がする親はいないだろうからな。

その様子を見ていた、他の生徒や父兄の皆さんも、羨ましそうだったり、素直に称賛したりと、皆微笑ましい心の中である。

しかし。

「…え」

僕は、思わず足を止めた。

そして、同時に戦慄した。



…何で、こんなところに。