「…おー…いるいる」

講堂には、大勢の生徒、父兄が詰め寄せていた。

フリーマーケットでもやってんのか、って勢い。

「イレース、待たせた」

「ようやく来ましたか」

せっせと学校説明会の準備をしていたイレースが、嘆息して言った。

悪い悪い。

受付の方も人が多くて、大変だったんだよ。

「それにしても…これだけの人数が、よく集まりましたね」

と、イレースが言った。

え?

「どういう意味だ?」

「いえ…。昨今、魔導師排斥運動が高まっているそうじゃないですか。今年はその影響で、オープンスクールの参加者も少ないのではないかと思っていましたが…」

「…あー…」

「意外と、そうでもないんですね」

確かに、言われてみればそうだな。

『サンクチュアリ』とかいう組織が、この王都でも暗躍しているらしいが…。

魔導師を志す子供達には、そんなことは関係ないかのごとく。

例年通り、大勢の入学希望者が集まっている。

こう見ると、案外『サンクチュアリ』の運動って、大して影響を与えているようには思えないな。

やっぱり、なりたい人はなりたいって言うか。

誰に何と言われようが、魔導師を志す者は減らない。

そういうことなのかもしれない。

俺達学院側としては、その方が有り難い。

「じゃあ、そろそろ始めるか」

「そうですね」

俺は、マイク片手に壇上に上がった。