「はい、これ持って入って」
「こちらは、父兄の方用の資料になります」
俺と天音は、来場者にパンフレット一式と。
シルナが袋詰めした、小分けのチョコレート菓子を配っていた。
後者要らんだろ、と俺もイレースも思っていたが。
シルナが、「絶対要る!来てくれる人皆に配る!最悪パンフ配らなくても良いから、チョコだけは絶対配る〜っ!」と喚くもんだから、仕方なく。
パンフは要るだろ。何しにオープンスクール来てんだ。
しかし来場者は、パンフと一緒に、チョコまで配られるのが不思議ならしく。
「え、何でチョコ?」とか、
受け取っても、「…?」みたいな、これ何?顔をしている来場者が多数。
そりゃそうなるわ。
俺だってそう思うもん。
でも仕方ないだろ。これがイーニシュフェルト流、ってかシルナ流なんだから。
イーニシュフェルト魔導学院に入学を考えている生徒なら、今のうちに慣れておいてくれ。
入学したら、そりゃもうチョコ漬けにされるから。
「ふぅ…。多いね、来場者…。こんなに多いんだ」
来場者の波が途絶え、ようやく一息つけた頃。
初めて、イーニシュフェルト魔導学院のオープンスクールを経験した天音が、驚いた顔で言った。
「こんなに大量のパンフレット、捌き切れるのか心配だったんだけど…。もう、こんなに減ってる」
配布用パンフレットで、パンパンに詰まっていたはずの段ボール箱が。
すっかり捌けてしまって、残り三分の一以下にまで減っている。
それなのに、シルナが無駄に大量に用意したチョコのストックは、まだまだたくさんある。
どんだけ用意してんだよ。
それはさておき。
「毎年こんなもんだよ。何だかんだ、イーニシュフェルトは名門校で通ってるから。オープンスクールだけでも参加してみたい、って人が、結構いるんだ」
「成程」
受験を考えるほどの学力はなくても、オープンスクールだけなら、誰でも参加出来る。
そして将来魔導師になりたい子供なら、一度はイーニシュフェルト魔導学院に憧れるもの。
気分だけでも体験してみようと、オープンスクールに足を運ぶ生徒は多い。
そんな訳で、毎年イーニシュフェルト魔導学院のオープンスクールは、お祭りのような騒ぎになるのだ。
実際、シルナはお祭り気分だしな。
今頃は、ほくほくと体験授業を行っていることだろう。
ナジュがやってる実技の体験授業も、始まってる頃だろうな。
で、講堂ではイレースが、この後実施予定の学校説明会の支度を整えているはずだ。
ちなみに、その学校説明会の司会進行を務めるのは、俺の役目だ。
だから、そろそろ行かなきゃな。
「天音。俺、そろそろ講堂に行ってくる」
「あ、そっか。学校説明会、そろそろだもんね」
「受付の方は、もうだいぶピークも過ぎたし、これからどっと詰めかけてくることはないと思うが…。もし人手が必要なようなら、シルナ分身に声かけてくれ」
「分かった。行ってらっしゃい」
シルナ分身は、今日も元気に校内をうようようろうろしている。
今日のシルナ分身は、道に迷っている来場者の誘導や、父兄からの入試相談などを引き受けている。
ちなみに、ボランティアの生徒達も、シルナ分身を手伝い。
質問コーナーを設けたり、体験授業への呼びかけを行ったり、広い校内を案内して回ったりと、忙しく動いてくれている。
いくらシルナ分身がいるとはいえ、万年人手不足だからな、うちの学院は。
生徒が手伝ってくれると、とても助かる。
さて。
それじゃ、俺も講堂に行くとするか。
「こちらは、父兄の方用の資料になります」
俺と天音は、来場者にパンフレット一式と。
シルナが袋詰めした、小分けのチョコレート菓子を配っていた。
後者要らんだろ、と俺もイレースも思っていたが。
シルナが、「絶対要る!来てくれる人皆に配る!最悪パンフ配らなくても良いから、チョコだけは絶対配る〜っ!」と喚くもんだから、仕方なく。
パンフは要るだろ。何しにオープンスクール来てんだ。
しかし来場者は、パンフと一緒に、チョコまで配られるのが不思議ならしく。
「え、何でチョコ?」とか、
受け取っても、「…?」みたいな、これ何?顔をしている来場者が多数。
そりゃそうなるわ。
俺だってそう思うもん。
でも仕方ないだろ。これがイーニシュフェルト流、ってかシルナ流なんだから。
イーニシュフェルト魔導学院に入学を考えている生徒なら、今のうちに慣れておいてくれ。
入学したら、そりゃもうチョコ漬けにされるから。
「ふぅ…。多いね、来場者…。こんなに多いんだ」
来場者の波が途絶え、ようやく一息つけた頃。
初めて、イーニシュフェルト魔導学院のオープンスクールを経験した天音が、驚いた顔で言った。
「こんなに大量のパンフレット、捌き切れるのか心配だったんだけど…。もう、こんなに減ってる」
配布用パンフレットで、パンパンに詰まっていたはずの段ボール箱が。
すっかり捌けてしまって、残り三分の一以下にまで減っている。
それなのに、シルナが無駄に大量に用意したチョコのストックは、まだまだたくさんある。
どんだけ用意してんだよ。
それはさておき。
「毎年こんなもんだよ。何だかんだ、イーニシュフェルトは名門校で通ってるから。オープンスクールだけでも参加してみたい、って人が、結構いるんだ」
「成程」
受験を考えるほどの学力はなくても、オープンスクールだけなら、誰でも参加出来る。
そして将来魔導師になりたい子供なら、一度はイーニシュフェルト魔導学院に憧れるもの。
気分だけでも体験してみようと、オープンスクールに足を運ぶ生徒は多い。
そんな訳で、毎年イーニシュフェルト魔導学院のオープンスクールは、お祭りのような騒ぎになるのだ。
実際、シルナはお祭り気分だしな。
今頃は、ほくほくと体験授業を行っていることだろう。
ナジュがやってる実技の体験授業も、始まってる頃だろうな。
で、講堂ではイレースが、この後実施予定の学校説明会の支度を整えているはずだ。
ちなみに、その学校説明会の司会進行を務めるのは、俺の役目だ。
だから、そろそろ行かなきゃな。
「天音。俺、そろそろ講堂に行ってくる」
「あ、そっか。学校説明会、そろそろだもんね」
「受付の方は、もうだいぶピークも過ぎたし、これからどっと詰めかけてくることはないと思うが…。もし人手が必要なようなら、シルナ分身に声かけてくれ」
「分かった。行ってらっしゃい」
シルナ分身は、今日も元気に校内をうようようろうろしている。
今日のシルナ分身は、道に迷っている来場者の誘導や、父兄からの入試相談などを引き受けている。
ちなみに、ボランティアの生徒達も、シルナ分身を手伝い。
質問コーナーを設けたり、体験授業への呼びかけを行ったり、広い校内を案内して回ったりと、忙しく動いてくれている。
いくらシルナ分身がいるとはいえ、万年人手不足だからな、うちの学院は。
生徒が手伝ってくれると、とても助かる。
さて。
それじゃ、俺も講堂に行くとするか。


