「よし!収穫だぞ〜収穫だぞ〜!未来の園芸部候補を、ぞくぞく収穫するぞ〜!」

今日も元気に、な〜んかズレたこと言ってるな〜…と思っていたが。

収穫って、そういうことか。

未来の部員候補を確保する為に、部活動アピール頑張ろう、ってことだったんだな。

でも、わざわざイーニシュフェルト魔導学院に来てまで、園芸部やろうって生徒は…。

…あんまりいないんじゃないかなぁ。

それに、そんな生徒がいたら、俺がツキナと二人っきりで放課後を楽しむ、あの素敵な時間が少なくなるじゃん。

ツキナには悪いけど、それは嫌だ。

だから俺としては、部活動勧誘なんて、協力しないべきなんだろうけど…。

「頑張ろうねっ!すぐり君!いっぱい収穫しようね!」

と、じょうろ片手に張り切りっている、ツキナの意気込んだ様子を見ていたら。

「うん。頑張ろーね」

って、言うしかないだろう?

収穫って、何すれば良いの?糸で釣ってこようか?

そして。

「ところで、すぐり君。さっきから気になってたんだけど、一個聞いても良い?」

「いーよ。何でもどうぞ」

「そっちの人は、誰?」

ツキナは、俺の横にいる、

『八千代』を指差して尋ねた。

そう、俺は今日というこの日の為に、『八千代』まで呼んできたのだ。

ツキナが、ここ数日ずっと、「オープンスクール頑張るぞ〜!」と張り切っていたから。

ここは、俺も園芸部の部員として、一肌脱ごうと思い。

手伝いを呼んでみた。

『八千代』に聞いたら、オープンスクールの日は、何の予定も入ってないってことだから、遠慮なく労働力に使おうと思って。

この園芸部の畑や花壇は、俺とツキナの聖域みたいなものだから、他の人間にはあまり入ってきて欲しくなかったが…。

『八千代』は前にも、夏休みのときにここに来てるし。

朴念仁の『八千代』なら、ツキナに変な気を起こすこともないだろうし。

そもそもツキナの魅力に気付けるのは、俺くらいしかいないし。

まぁ今日くらいは、『八千代』も呼んでやって良いかな、と思った次第である。

バケツ運びにでも使ってやろう。

「俺が選んだ、助っ人」

「おぉっ!助っ人さん!?」

「うん。力良し、速さ良し、頭はイマイチの三拍子が揃った、頼もしい助っ人だよ」

「うぉぉ!凄い凄い!」

ツキナ大興奮。

俺とツキナの聖域に、他の人を入れるのは嫌だったけど…。

まぁ、ナジュせんせーという例外もいるし。

何よりツキナが喜んでるから、まーいーや。

「僕、何したら良いの?」

こてん、と首を傾げる『八千代』。

「そーだな〜。うーん…。じゃあ、今日は体験入部に来てくれた人に、大根の植え付けをしてもらう予定だから…。はいっ」

ツキナは素晴らしく良い笑顔で、俺達に鍬を差し出した。

あっ、これあれだ。

「よーし!畑耕し隊の諸君!気合を入れて〜…えっさほいさするぞ〜!」

…ですよねー。