空の表紙 −天上のエクレシア−




「あの長老の娘さんが唄う歌詞は
初めて聞きました!」


「ふむ…。そうだな。
あの部分は普通『唄った』だけで
物語は進むな。


そして扉は開き、
勇者達は沢山の財宝と共に
国を凱旋する。
華々しいフィナーレだ。
…………待て。」


顎に拳をあて
イザベラは額にシワを寄せる


「…という事は、だ。
その長老の娘の歌詞の部分を聞いて
ピッキーノはああなったって事か。
そして何やらあのオデッセイに叫んでいた…。」



柱時計の
夕刻を知らせる鐘が鳴る

ルビナは
これ以上遅くなるのはと焦った



「あの!雨も収まって来たし
うち帰ります!
夕飯のしたくとかあるんで!」



「あ、ああそうか。
気を付けてな。娘。
…今日の事は内密に頼むよ。」



「え?あ
はい だいじょぶです!
大切なお得意様ですから!」


満面の笑顔で答えるルビナに
イザベラも笑顔で答える