――――「…ここ…どこ?」



ルビナが目を覚ますと
瓦礫と化した神殿は
水の吹き出して来た場所も埋まり
天井などは今にも崩れそうで
少し動くのも躊躇された



―泣き声がまたする
聞こえたのは呻き声。

いや 獣の咆哮…?
違う…。




「オデッセイさん…」

―包まれていた
黒い温かい翼に

金糸の向こうに透けて見える
紅い眼の虹彩が、閉じる。
あの碧に変わった


驚く事に
もう一人彼は、人を抱えて居た



「ピッキーノさ…!!」


ルビナは一瞬
身を退くが、
「大丈夫。」と言って
オデッセイが体を引き寄せた


白い牙を見せて
オデッセイは呟く


「オレとこいつは
すごく似てんのかもしんない…。

ただ違う事は
俺には仲間がいた。
―たったそれだけの事。
けれど…。」



ゴゴ…と低い嫌な音。

「!」