空の表紙 −天上のエクレシア−



(雨。まだひどいなあ…。)


ルビナは
大きなピッキーノの肖像画の下で
暖かい紅茶に口を付けながら
ぼんやり外を見ていた


着替えた時に
白いドレスは返してしまった

メイドの誰かがしてくれたのだろう
元々着て居た赤いワンピースは
綺麗にアイロンされ
小さなカギザキなども
丁寧に直されていた



カタンと音。


「ルビナと言ったかな。
体は暖まったか」

「わ!はいー!」


乗馬服を脱いで上等な玉色の
胸の大きく開いたドレスを
纏ったイザベラ

目のやり場に困ったルビナは下を向く


「ん?どうした?」

「え!あ!いやー!
でっかい胸だなーって思
…ひ?!あわわわ!」


「あははは!面白い娘だな
一応褒め言葉と取って置く
お前も誰かに揉んでもらえ。
すぐ大きくなるぞ?」


「ひえーー?!」


イザベラは赤面するルビナの横を
おかしそうに通り過ぎる


「夕立だ。すぐやむだろう。」


腕を組み窓にもたれ
今はもう片付けられた雨の庭先を
真っ直ぐ見下ろす


柱時計の刻む音だけが響く部屋で
ルビナはさっきの出来事を
思い返していた