―――――激しい衝撃音
フリートとジークが
討ちあっている
細かい牽制は既に無い
―隙などないからだ
「…さすがにっ!
元天士長!その体に被さった異形化…
意識がある事に驚きですがね!」
「…」
「しかしここは
新しく構築されつつある私の世界だ…
力を支配しているのは
こちらなんですよおッ!!」
「……フリート 嘘はもういい」
その言葉に
交差された剣の向こうの視線が
一瞬見開かれる
そして微笑み
――――水色の瞳を光彩化させた
(フリート隊長?!
下から掬いあげる様に
フリートの剣がジークの喉元を狙う
寸前で飛びのいたジークは
彼の異形化に意を決した様に
一本の斧を両手に構え
空気を鳴らした
フリートは青い炎に包まれ
それは剣にも伝染して行く
何千もの氷の軌跡を残して
霧の様に銀糸が揺れる度
ジークの躯に裂け目が生まれたが
巻き込む様に、分厚い刃に剣を
絡め、頭上で旋回させる
剣がそこでフリートの手を
離れるかに見えたが
彼はジークの胸元を足で蹴り
その反動で回転し
逆にその顔を笑いながら切り付けた
眼帯が落とされる
――狙った様だ
粗く掘られた鉱脈から顕れた
真紅の宝石
―埋め込まれた義眼
それは他の者が腕にしている
『力』を押さえ込む石だった
『…護りの証の疵痕…
美しいですね…
しかし宜しいのですか…?
貴方が私の相手をしている間にも
人々の恐怖で新たな怪物が生まれ
街は闇に包まれて行く…』
―ジークにもそれは解っていた
ふと見ると
アクアスが少し震えながら剣を構え
自分の前に立っている
『…ガラ
少し街に行きたい
ここにカボチャセットは
置いていないのか?』
「……うわあ…しまったね
生憎、忘れてたよ」
『――では仕方ないな
このまま行く。
…アクアス、少しの間
任せたぞ』
アクアスは無言で
背中を向けたまま、それに頷いた


