「…!!」
フリートの言葉を合図に
ぐるぐると高速で『本』が回転し
幾つもの光が飛び出して行く
それと共に空も回転した
雲が高速で流れて消え夕暮れになり夜になり星が流れまた日が昇り雲が高速で流れて消え夕暮れになり夜になり星が流れまた
「うわあああ?!」
己の位置が上か下かも解らない状態
それが起こっていたのは
神殿だけでは無かった
「うおおあああ?!」
加えて各地に光輝く
ローブを身に纏ったピッキーノが同時出現
勇敢で穏やかな顔付きで
腕に抱えた青い石盤を人々に指し示す
目を走らせるとそこには―
『第一戒
貴方は私の他に何者をも
騎士としてはならない。
第二戒
貴方は自分の為に私の像を刻み
所持していなければならない。
第三戒
貴方は私の目から離れて
行動してはならない。
第四戒
貴方は私の――』
人々の叫び
神に助けを乞う声
子供の名を呼ぶ声―
詠唱を続けるガラ
――しかしフリートは檀上にあがり
ガラの腕を思い切り引いた
『やめろ!!ガラ
貴女が壊れてしまう!!』
ガラは表情無く詠唱を中断したが
再びそれを開始した
『……!』
フリートはガラの胸に拳を当てる
強い光に弾かれ
ガラは気を失った
短い小節と共に雪が止み
結晶化も留まる
…そして
二つの塊の全体に
徐々に亀裂が入り
虫の変態の様に羽化が始まった
「…オデッセイ…さん…?」
殻から見える肌は黒く
その背中からは露に濡れた黒い翼
「…兄貴…?」
―体中から延びる湾曲した角の様な物
うっすらと開けた眼には
縦の虹彩
ノアールが叫ぶ
「間に合わなかった…のか?!」
フリートがその様子を見て
クスクスとおかしそうに笑う
「…野郎っ!!」
ノアールが叫び
フリートに飛び掛かったが
輝く銀赤色の剣で軽く返される
切り返すとそのままノアールを斬った
「ノアールさんっ!!」
血溜りが床に流れ
アクアスの足元に辿り着く
ルビナが短い悲鳴を上げて泣き始めた
「…なんで…?
なんでこんな事になっちゃうの…?!」


