だけど、千紘の笑顔が他の女の子にも向けられて、それで好意を持たれるなんて嫉妬してしまうのだから仕方がないじゃないか。
活躍している千紘を見るのは私だって嬉しい。
だけど、活躍と同時に千紘はみんなのヒーローなんだと思うとモヤモヤしてしまう。
私のことを、大事にしてくれているのは知っている。だけど――。
「私たちもう付き合って8年になるんだよ?なのに――」
「なのに――、なんだよ?」
「いつまでたっても、プロポーズしてくれないじゃん!」
「そっ、れは……」
高校2年生に進級する前の春休みの時から付き合って、もう8年。
プロになったばかりの頃は、それどころじゃないとわかっていた。
私が大学を卒業した時は、私が仕事で忙しいのを支えてくれていた。
だけど、それももう落ち着いたし千紘も一軍に上がることができた。
だから、そろそろかな――と待っていたのに、一向にその雰囲気はこない。
そのくせ、千紘の人気はどんどん上がっていく。



