今のどこにそんな要素があったのだろうか。
言葉よりも顔を真っ赤にしてそっぽを向いたことが、千紘にとって可愛いと感じたことには気が付かなかった。
相変わらずネコみたいだと思われたことも――。
「もっと俺だけにいろんな顔――、見せろよ」
耳元でそう囁かれて、追い打ちをかけられた。
かかる息がくすぐったくて、耳まで熱を持ちゆでダコみたいになってしまう。
そんな私に気づいているのか、いないのか……、千紘はいつも通りのトーンでとんでもないことを私に告げた。
「なぁ、明日オフだし今日はお前ん家泊まるから。外泊届けは出してある」
プロポーズしてきた日に泊まりに来るとは、つまりそういうことで……。
今までなにもしてないといえば嘘になるけれど、最後までは決してしなかった。
何故かいつも触るだけ触って、本番はなしに終わっていた。



