だけど、千紘は逃げ出せるギリギリの強さで私を抱え込んでいた。


ちゃんと私のことも考えてくれているのだということに嬉しくなる。でも、千紘は本当に私でいいのだろうか。


幼なじみで、ずっと一緒だった。

だからこそ、有名となった今――、平凡な私なんかよりも、可愛い女の子が千紘の周りには沢山いる。


仕事の関係上、有名なアイドルやモデルさん、女優さんとも関わりがあるのは知っている。

それにファンの女の子だって可愛い子ばかりだ。


だからこそ、千紘は私と仕方なく付き合っているのではないかと思ってしまう。

ただ、幼い頃から一緒で高校生の時に付き合ったから、そのままの関係が続いているだけ。


千紘の私に対する行動が嘘だとは思っていないけれど、本当にいいのか疑問に思ってしまうのだ。


だから私は、無意識のうちに声に出してしまっていた。



「いつもそうやって甘やかして、くっついてくるけど、千紘は本当に私でいいの?」