だから私は、ヒーローインタビューも終わり無事に会場から人が少なくなってから、いつもの裏方に通じている通路を通してもらい千紘が出てくるのを待った。
いつもならもうすぐ出てくるはず――、その私の読みは当たったらしい。
考えた直後に荷物をまとめて着替えた千紘が奥から出てきて、私の姿を見て駆け寄ってくる。
「結乃!!」
結構な距離があったはずなのに、その俊足を活かして一瞬で私の前に来たと思ったら勢いよく抱きしめてきた。
受け止めきれずに後ろに数歩下がってしまうけれど、力強い千紘のおかげで倒れることはなかった。
だから私は、千紘の背中に腕を回し同じようにギュッと力を込める。
「千紘、やったね!ちゃんと見てたよ」
しばらくその体制でいたけれど、興奮が落ち着いたのか千紘が抱きしめている腕を緩めた。
私もそれに合わせて腕を解いて少し離れる。
嬉しさと勢いで行動してしまったけれど、やっぱり恥ずかしい。



