中央のビジョンには、笑顔で塁を走る千紘が大きく映し出されていた。
「おめでとうございます。西山選手、今シーズン第一号。プロ初のホームランです」
千紘がホームに帰ってきた時、そうアナウンスされ、電光掲示板が9回の欄に1と記されてからゲームセットが告げられた。
結果は3対2で千紘のいるチームの勝利だ。
プロになって一軍で初スタメン。その試合で初ホームラン……。
こんな活躍を球場で直接見れたなんて、私は幸せ者すぎるのかもしれない。
グラウンドで先輩たちにもみくちゃにされる千紘を見ながら、私は心の中で良かったと安心した。
学生時代はマネージャーの特権でベンチにいた私。
優勝が決まった時や、活躍をした時、逆転勝利の終了時には他の選手と一緒にすぐに駆け寄っていた。
だけど観客席にいる今は、それができないことに少し寂しく思った。
盛り上がっている周りのファンたちに合わせながらも、私はそれがもどかしく感じる。



