この時間なら、友達かな……と思って気軽に開いた私はその画面を見て、ガバッと身体を起こした。
「千紘!?」
一体何が書かれているのだろう。
まさか、さっきの文句とか?よく考えたら、誰が来るかもわからないあの通路で大胆なことをしてしまった気もする。
もしかして誰かに見られていた?
あそこを通るのは関係者と選手だけだから、見られても最悪なことにはならないはずだけれど、千紘が恥ずかしい思いをしてしまったかもしれない。
勢いに任せて行動しすぎた?
私はそんなことを考えながら、恐る恐る千紘の名前をタップして、メッセージを表示した。
『ありがとう』
そこには、その一言だけが書かれていて私はほっと息をつく。
絵文字も何もないけれど、その文字だけで十分だ。
私の気持ちはしっかり千紘に伝わったのだろう。
だから、きっともう大丈夫――。
たった一言だけれど、そこには色々詰め込まれているような気がして、私は表情を緩めた。