「あの時、“俺と付き合ってほしい、そしたら勝てる気がする”って言ってたじゃん。だから、私がいれば千紘は最強なんだよ。たくさん練習してきた千紘を私は知ってる。落ち着いていつも通りやれば大丈夫」
あの時は、その言葉通り付き合って無事に決勝戦も勝利した。
あの時から私はずっと千紘のそばにいる。
一番近くで私が応援しているのだから、高校生の時にできたことを今できないなんて言い訳は通用しない。
だから、あと一息――。
「そ、それに、私だって千紘の活躍見たいんだからね!大好きなんだから!」
そう言うだけ言った私は、恥ずかしさで顔が熱を持つのを感じる。
そして、千紘の反応を見る前にその場から逃げ出した。
「……あいつ、あんなの反則だろ」
千紘がそう言って、顔を真っ赤にしていたことには気が付かないまま、家まで走って帰った。



