このまま私のせいで力んで、調子を落としてほしくもないし、仲直りもしたい。
プロポーズして欲しいというのは嘘ではないけれど、そのせいで調子を崩されるのはもっと嫌だ。
千紘の負担になんてなりたくない。
だから私は試合が終わった後、千紘にこの間のことを謝りに行くため、裏方に顔を出そうと向かった。
もちろん、裏方と言っても関係者が入れるところまでだから、そんなに奥までは行けない。
ただ、選手が出てくる通路はここひとつなので、入れ違いになることはないだろう。
私はそこから千紘が出てくるのを待っていた。
「あっ、ちひ……」
バックを持って私服に着替えた千紘の出てくる姿が見えた。
私が駆け寄ろうと一歩踏み出した時、後ろから監督が出てきて千紘を呼んだ。
私は咄嗟に通路を戻り、見つからないよう角に隠れた。
「千紘、最近力が入りすぎだ。お前はまだこれからなんだから気負いすぎるなよ」
やっぱり、力入っていたんだ……。



