結乃がそばにいることが当たり前だった。


もちろん、結乃が結婚したがっていることも、何も言わずに待っていてくれていることも、ちゃんとわかっている。


それでも――。



「まだ、今の俺じゃダメなんだ……」



たくさん支えてもらってきたからこそ、俺も結乃を支えたい。

そのためには、一軍に上がったばかりでいつ二軍に落ちるかもわからない不安定なままではダメだと思った。


スタメンになれるのが一番いい。

プロになったばかりの頃は、スタメンになったら結乃にプロポーズしようと思っていた。


だけど、そうなる前に結乃から“プロポーズしてくれない”言われてしまったのだ。

俺だって早く結乃と一緒になりたい。


そうは思っていても、納得するプレーすらできていない俺には、今すぐプロポーズをする勇気はなかった。



――ちゃんと、近いうちに結果をだすから……だから、それまで待ってて……結乃。



俺は今まで以上に力を入れて練習し、試合に臨んだ。