「はぁ……」



パタンと背後で閉まったドアの音を聞き、盛大にため息を落とす。


やってしまった……。

正直、勢いに任せて言いすぎたし、ちゃんと誤解を解いてから出てくればよかった。

だけど、今はまだプロポーズをするわけにはいかないし、今の雰囲気で言っても余計にこじれるだけだろう。


今日はもっとイチャイチャするはずだったのに――。


結乃と久々のふたりきりだったのだ。時間の許す限り一緒にいようと思っていたのに。



「最悪だ……」



今更、部屋に戻るのも気まずい。

俺は再びため息をつきながら、寮に戻る道のりを歩き始めた。


俺だって、できるものなら今すぐにでもプロポーズしてしまいたい。

ずっと昔から好きで、高校の時にやっと付き合えてここまで来た。なのに今更、俺の手から逃すなんてするはずがない。


だけど俺はまだ、プロ6年目でやっと一軍に定着できたばかりだ。


ドラフトで3位だった俺は、最初の1年は体力作りで終わった。