だって私達は一番大切な人を助けることができなかったんだから。


出口の前で呆然と立ち尽くしていると「セイラ、手伝ってくれ!」と、後方から声をかけられた。


振り向くとタイセイがカズトモの寝ているベッドを動かそうとしているのだ。


それを見てハッとした。


カズトモの魂はここにはない。


けれど体を助けることならできる!


カズトモの魂はあの部屋に縛り付けられている。


けれど、そこにはかすかな希望があった。


もしもなにかの拍子にカズトモの魂が体に戻ってくることができれば……!


私はその小さな希望にかけることにした。


すぐに駆け寄ってタイセイとふたりがかりで、カズトモを乗せたベッドを外へと運ぶ。


そのときにシーツの下からなにかが落ちたような気がしたけれど、私達はもう振り返らなかったのだった。