「はい、出来たから。」

「え?」

差し出された私のスマホ。
何が出来たの?
意味がわからない。
とりあえず、愛の告白ではなさそうだ。



「フォローと本棚もしてあるから。」



えーっと。
何がなにやら?
フォローと本棚って?



「感想を聞かせて欲しい。」

「か、感想?」

「急がなくて良いよ。
少しずつで良いから、感想を聞かせて。」

よく見てみると、そこには女性のイラストとタイトルが出ていた。



『今夜もあなたの夢を見る』



「あ、あの…これって、もしかして携帯小説ですか?」

男性は小さく頷いた。



なるほど。小説を読んで感想を聞かせてってことなんだね。
ってことは、これはもしかして…



「あ、あの…
この小説、もしかして、あなたが書かれたんですか?」

「うん、そうだよ。
自分ではけっこううまく書けたと思ったんだけど、なぜだか閲覧数が伸びなくてね。
それで、忌憚のない意見が聞きたかったんだ。」

「な、なるほど。」

作者名は、KR。
本名のイニシャルなのかな?
あ、どさくさに紛れて、名前聞いちゃおう。



「あの…あなたのお名前は?」

「KR。」

「そ、そうなんですね。」

なんだ、教えてくれないんだ。
ちょっとがっくり。
でも、小説を通じて、繋がりが出来たんだし、それで良しとしなきゃね。