美しき微笑みのあの人に恋をした。





(ちょっと早すぎたみたい…)



KRさんが来るのはいつも昼過ぎだけど、落ち着かないから、店がオープンする時間に来た。
今日は、たまたま2階にお客さんが来たから、早く帰れ~って念じてたら、コーヒーを飲んで直ぐに帰って行った。



長い時間居座ってるから申し訳なくて、何杯もコーヒーを飲んで、ついでにサンドイッチやスイーツも食べてるうちに、ようやく昼過ぎになって…



一応、化粧は直した。
いつもよりちょっと明るいメイクをして来たよ。
服は、新調したブラウスとスカートだから、大丈夫よね?
普段、スカートはあんまりはかないけど、今日は気合いを入れてはいてきた。
しかも、私にしては短めだ。



(わ!来た!)



ついに、KRさんが姿を現した。
でも、なんか違う…
あ!マスクと眼鏡が無いんだ。



(な、なんてカッコイイ!)



大変だ!2回目の一目惚れだよ。
にわかに鼓動が速くなる。
心臓が口から飛び出しそうだ。
大丈夫!
やるべきことはやった。
リラックスだ!



「やぁ!」

KRさんが片手を上げる。



「や、やぁ!」

嫌だ!私、なに言ってるの!?
緊張し過ぎてたのか、私は立ち上がり、片手を上げて、KRさんと同じように言ってしまった。
やってしまったことはもう仕方がない。
こんな時は笑うんだ。
笑って誤魔化すしかない!