実に寝覚めの悪い朝だった。

これだけ寝覚めが悪いのは、二十六年間生きてきて、初めてのことではないだろうか?

「痛っ…!」

後頭部に鈍痛が走った。
夢の中で、後頭部を叩かれたからだろうか?
実際に叩かれたわけではないのだから、この痛みは空想の産物ということになる。
こういう時、人間の脳というものは凄いと関心する。
それと同時に、そこまでしなくてもと、恨めしく思うものだ。
今の私は、どちらかと言うと、恨めしい気持ちの方が強いだろう。


どんなに寝覚めが悪くても、平日の朝はきちんと起きねばならない。
それが、サラリーウーマンというものである。
給料を貰うためには、きちんと働かなくてはならない。

「仕方ない、起きますか」
誰に言うでもなく、私は呟き、仕事に行く支度を始めた。