空が恋した裕紀という男。


そして


空が親友だと思っていた杏奈。




空はその二人にメールがしたいと言った。




「‥やめとけよ」




俺はうまく言葉が思い付かず、ぶっきらぼうな言い方でそう言った。




空は明らかに俺の反応を怪しんでいる。




「空‥裕紀と杏奈はもういないよ‥」




空を杏奈や裕紀に合わせるわけにはいかない。




死んだ空に合わせるわけには‥




「いない‥って?」




空の不安が伝わる。




でも俺には何も言えない。




「とにかく‥体調よくなるまで俺んちにいろよ」



こうして知らない振りをするしかできない。




「ちょっと‥外の空気吸ってくるよ」




たまり兼ねた空は立ち上がった。