その瞳に囚われて


「ちょっと待っててね」



鞄を漁って、携帯を取り出そうとすると。

パシッと腕を掴まれた。



「男と連絡先交換しちゃダメでしょ、花澄ちゃん。警戒心持ってよ」




腕を掴まれたまま、鞄も紫杏くんのもとに行き渡る。

これじゃ、連絡先交換できない…!



「なんで交換しちゃだめなの?私、紫杏くんとは交換したよね」



鞄を取ろうと手を伸ばすけれど、それに合わせて紫杏くんも鞄を上にあげるので、届かない。

いじわる…。



「そんなに宮西クンと連絡先交換したい…?」



どうしてか。

とても殺気立っている紫杏くん。

…ここで頷いたら危ない気がして、否定も肯定もせずに黙ると。



「それじゃ、花澄ちゃん、帰ろうね。
…宮西クン、また木曜日にね」



鞄と腕は確保されたまま、駅に向かって歩いていく。