「花澄、こっちだ」
裏門付近に人が見えて、紫杏くんかなって期待を膨らませながら歩くと。
「大雅くん…⁉︎」
そこにいたのは大雅くんで、二度見ならず三度見してしまう。
「なんで、大雅くんが…?」
問いかけると。
「諸事情で花澄が出かける際は必ず、紫杏がつくようになったんだ」
「…うん?」
「んで、紫杏が今日外せない用事があって、代わりに俺が来た」
「へぇ…?」
わかるような、わからないような。
全くわからないような…。
「…とりあえず、花澄が外を出歩く際は誰かしら付くってことだけわかればいい」
「え…‼︎」
ど、どうして…。
というよりか、それって登下校時じゃなくても該当するってこと?
「詳しいことは明日、紫杏に聞いてくれよ。
俺は迎えに来ただけだ」
「明日は、ムリ…」
むり、といい終えた途端睨みを効かせる大雅くん。
蛇に睨まれたカエルの気持ちがよくわかる。
「あ"?なんで」
低い声。
ビクッと肩が跳ねてしまう。