翌朝のこと。

今日は休日。

いつもは家にいるお母さんだけれど、出張で家にいなく、お父さんも単身赴任でいない。

兄弟も一人っ子だからいなくて、今日は一人きり。

…昨日のことを考えすぎちゃって、今日はよく眠れなかったかも。


ーーピーンポーン


まだ、朝8時頃というのに、インターホンがなる。

この時間帯だし、宅配便ってこともないだろうから、誰だろう…?

なんの躊躇いもなくドアを開けると。




「おはよう、花澄ちゃん。警戒心が1ミリもないんだね?」

「……っ!?」




黒髪のあの人が、目の前に立っていた。

な、なんで…?



「本当よく顔に出るよね、見てて飽きないな。“監視”も悪くないかも」



フッと笑いながらいう黒髪の人。


「なっ、なんで私の家も名前知って…?」

「ああ。ちょっと知り合いに調べてもらってね。
ーー倉沢花澄。家族構成は両親だけで、一人っ子。誕生日は1月7日の早生まれ。歳は16歳。俺の2つ下だね」

「どうして……⁉︎」



完璧に言い当てられて、恐怖心を覚えてしまう。

この人にとって個人情報を特定するのは、簡単なことなんだ…。



「…なんか、俺だけ君のことを知ってるって、ちょっと不平等だよね。
なんか、俺に聞きたいことある?なんでも1個だけ答えてあげるよ」