「……」



好き…、すき、スキ…。

好き…って思ったって…つまり。

つまり、そういう感情を抱いてるってこと…?

私が、紫杏くんに…?



「……ん?」

「……っ」




紫杏くんをみれば、どうしたのと首を傾けてくれる。

思わず目があって逸らしてしまう。

自覚してしまった。

恋してるんだなって…。



「花澄ちゃん」



名前を呼ばれて、ハッとする。

私、ずっと紫杏君のこと抱きしめてて…。

離れた方がいいよね?

離れようと、腕を動かそうとすると、ガシッと止められて、紫杏君の腕も私の背中に回った。


「そのままでいいよ」

「っ……」

「今は、このままでいて」

「…、うん……」



甘く掠れた声に全身が痺れる。

心臓の音、聞こえてないかな…?

赤くなっちゃってるの、バレてないかな…?

思考がそれだけにしか、回らなかった。