話を聞き終えて、ギュッと紫杏くんを抱きしめる。
辛かったよね、苦しかったよね…って、そんな気持ちを込めながら。
「紫杏くん、辛かったよね…」
「……っ」
「…でもね、もう大丈夫。怪我をしたら手当てだっていつでもするし、おかえりって言えるように私が頑張る…から」
大丈夫だよって、抱きしめる力を強くする。
「…ねぇ、花澄ちゃん。それ意味わかってるの?」
「もちろん分かってるよ…!」
「…本当に?撤回はなしだよ。
俺が怪我したら手当てして、帰ってきたらおかえりって言えるように頑張ってね」
「もちろん…!」
それで、紫杏くんの傷が少しでも癒えるなら、私頑張るよ。
「……花澄ちゃんのばか。絶対意味分かってないでしょ…」
ばか、なんて言葉とは裏腹に、
今までで一番綺麗に、心から笑う紫杏くんの姿をみて心がすごく満たされる。
紫杏くんの笑った顔、好きだなって思って…。