すごい視線を感じて、とても恥ずかしい…。



「紫杏、また女の子かい?ここに連れてくるのは珍しいねぇ」

「いえ。この子はちょっと違いますよ。監視対象の子で」

「そうかい。それもまた珍しい」



ここのオーナーらしき人と紫杏くんが会話をする。

…紫杏くんが敬語を使う姿を初めてで、少しびっくりしてしまう。

けれど、今はそれどころじゃない。



「紫杏くん、手…!」

「ん?手がどうかした?」



わかってるはずなのに、わざとらしく聞いてくる紫杏くん。



「紫杏くんのいじわる…」



ポツリとそう言えば、やっと手を離してくれる彼。

まだ手に残る紫杏くんの体温に、またここを出たら繋ぎたいなって思ってしまう。

…そんなふしだらな考えをなんとか頭の片隅に追いやった。

カウンター席に腰を下ろす紫杏くんの隣に、私も腰を下ろした。



「花澄ちゃんは、何味のケーキが一番好き?」

「うーん……、ショートケーキかな」