***
溜まり場へと繋がる通路を歩いて、そこへと足を踏み入れる。
もうここに来るのが三度目だとしても、全く慣れない。
やっぱり、関わりのなかった世界に入るのはまだ少し怖い。
けれど、紫杏くんがいるなら大丈夫だって思えちゃうのが不思議。
まだ、紫杏くんのことをたくさん知ってるわけでもないのに。
「着いたよ」
喫茶店の目の前で、止まる紫杏くん。
それから、手に視線を移す。
「…ごめんね。やっぱり怖かった?」
「え……、〜〜っ⁉︎」
うぅ…、私ったら何してるの…!
紫杏君の視線を辿れば、恋人繋ぎで紫杏くんの指に絡ませた私の手があった。
そして、恋人繋ぎをした人物はーー多分私。
無意識のうちにしちゃって…!
いや、無意識のうちに…って、一番ダメなやつだよね?
「ご、ごめんなさい‼︎わざとじゃなかったの…!」
「わかってるから、大丈夫。それじゃあお店に入ろうか」
「うん…、って、えぇ⁉︎」
自然な仕草でお店のドアを開けて、店内に入る紫杏くん。
今日は“open“と看板に書かれて、人がチラホラいるというのに。
…繋がれたままの、手。
沸騰していく私の顔と体全身。