…初めてって、まあそうだよね。
男への免疫力ゼロって感じだし。
逆に初めてじゃなかったらびっくりなんだけど。
喉が渇いていたのか、躊躇いがちにコップを取って、ゴクゴク飲む花澄ちゃん。
その後、俺をみて目を泳がせる。
「花澄ちゃん、どうしたの?」
俺の顔になんかついてる?
と、聞いてみればふるふると首を横に振る。
さっきみたいに強張ってるわけでもないし、どうしたんだろう。
「…紫杏くんの後ろにある写真が、気になって」
「……え?」
写真なんて置いてあったけ。
嫌な予感に思考を巡らせながらみると。
そこには両親と赤子が写っている写真があった。
たった一枚。
されど一枚。
なのに、見るだけで気分が悪くなる。
…剥がせばいいものなのに、そういうわけにもいかなかった。
「抱っこされてるのって、紫杏くんなの?」
「いや……、うん。俺、だよ」
別に隠すほどではないから言う。
けれど、らしくないほどに焦ってる。
「そうなんだ。抱っこしてるのがお母さんで、隣にいるのがお父さん?」
「…ああ、うん。そうだよ」
