「うん。…手土産もなくてごめんね」




親がいないとわかっても申し訳ないのか、謝る。

育ちの良さが滲み出でる。

しっかりした親に、ちゃんと育てられたんだろうな。



「適当にくつろいでくれていいから。
花澄ちゃんは、オレンジジュースか麦茶、水のどれ飲みたい?」

「オレンジジュースがいいです…!」

「オレンジジュースね。わかった」



オレンジジュース、という単語を聞いた途端、キラキラと瞳が輝いていて。

オレンジジュース好きなんだなってすぐにわかった。


奇跡的に冷蔵庫に入っていたオレンジジュースをコップに注ぐ。

ついでに、自分へと麦茶を注いだ。



「お待たせ。オレンジジュースどうぞ」

「っ…ありがとうございます…」




謎に敬語でお礼を口にする花澄ちゃん。

…心なしか、緊張してる?

ゆらゆらと瞳を動かして、強張った顔をする花澄ちゃん。



「変に意識しちゃってるの?」



ド直球に聞いてみる。

…と、ボンッと顔が赤くなる。

そっか、意識しちゃってるんだ?



「その、異性の友達の家に行くのが初めてで…、ごめんね」