「い、いないよ!!誤解です!」

「そうなんだ」



慌てて弁明すると、ふわりと言葉が返ってくる。



「…それなら…うん、良かった」



独り言のように呟いたあと、また作業に戻る宮谷くん。

それを見て、私も作業に取り掛かると、ジーッと視線を感じて顔を上げる。

すると、神妙な顔をした宮谷くんと目があった。


「倉沢さんって、真面目だよね」

「そうかな…?」

「うん。与えられたことはちゃんと丁寧にやるところとか、真面目だよね」



もちろん、いい意味で…と付け加える宮谷くん。

そんなこと言ったら。



「宮谷君も真面目だよね?」



ふふっと笑いながら言うと、曖昧に笑った彼。



「…どうだろうね」



曖昧な表情と、濁された言葉。

私が真面目なら宮谷くんはもっと真面目だと思うんだけどなぁ。

その上、ルックスも高くて勉強も運動もできちゃうのは、人気なのも十分頷ける。



「…おっ、これで終わりだね」



最後の用紙たちをホッチキスで綺麗に留める宮谷くん。