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それからというものの。

紫杏くんが会いに来てくれる頻度が、減った…気がする。

ううん、ほぼ毎日来てたのが、おかしかったのかもしれないけれど。

モヤモヤしてしまう。

会いたいって連絡すればいいのだろうけれど、その勇気は私になかったみたい。

打っては消して、また打っては決してを繰り返していると。

ピコンっと、メッセージが送られてくる。



…それも、紫杏くんからだ。


嬉しくって、頬を緩ませながら文字に目を通すと。


「今日会いに行っていい?」と、お誘いのメールが来ていて。


急いでメールを返信する。


まるで、私の心が読めてるんじゃないかってくらいのタイミングの良さ。


今、幸せオーラが溢れ出ちゃってる気がするよ…!


わくわくソワソワしながら放課後を待つ。



ーーけれど。

どうやら、今日の運勢は悪いみたい。

帰りのホームルームが終わった直後。



「倉沢って国語係だったよな」

「はい」

「放課後、宮谷(みやたに)とこのプリントを3枚ずつ束ねて、ホッチキスで留めてくれないか」




ザッと50枚ずつはあるプリント3セットを指差す先生。