ボソッと何か呟いたようだけど、聞き取れなかった。
「…それじゃあ、ここでお別れかな。
ここからは安全だと思うけど、気をつけて」
「はい。出口まで、ありがとうございました」
控えめに笑みを浮かべると、笑って返してくれる。
たった数分の時間だったのに、とても長かったような短かったような、不思議な気分。
もうきっと会えなくなるのが、名残惜しいような。
…もし。
またここにくれば、会えるのかな…?
そんな淡い期待は、一瞬にして崩れる。
「最後に。もう会うことはないと思うけど、絶対ここに来ちゃダメだよ」
優しく、でも、有無を言わせぬ雰囲気を漂わせた言葉。
掴めなくて不思議な人だなって思った。
