何か含んだように繰り返す和葉ちゃん。
紫杏くんと私は、監視役と監視対象。
…表すなら、特殊、その一言に尽きる。
「ぶっちゃけさ、その特殊な関係とやらは置いといて。花澄は彼のことどう思ってるの?」
「…んん……」
いつも余裕があって、紫杏くんならではの色気、魅力があって。
でも、どこか儚さがあって、危なさも秘めている。
一度落ちたら抜け出せないような沼がある。
だからこそ、関わってはいけないのに、関わりたい気持ちが湧き出てくる。
正反対な感情が混同して、渦巻く。
「…わかんない」
やっと出たのは、その一言。
初めての感情に頭がついていかないんだ。
「そっか」
すごく優しい声色で、返答する和葉ちゃん。
思わず、顔を上げると。
「…なんか、最近花澄の様子がいつもと違ったから。気になってたんだよね、その彼のことかなって」
ケーキをつつきながら優しい表情をして話していく。
「…まあ、色々とごちゃごちゃ聞いちゃったけど。なんか悩みごとあったら相談してね。
恋の悩みでもなんでも受け付けるよ〜」
冗談っぽく付け足す和葉ちゃん。
その言葉にフッと心が軽くなる。
