「はっ…い、いや、えっと、遠慮しておくますね」

「フフッ、何その日本語。ちょっとからかっただけだよ?」



…顔面蒼白、とはまさにこのこと。

超イケメンさんの正体は、みなさん察しの通り紫杏くんだったんだ。



「え…!?ねぇ、ちょっと、倉沢さんとあの人知り合いなの?なんなの?」

「仲良さそうじゃない?」



耳に入ってくる動揺の数々。




「…え。花澄この人と知り合いなの?友達なの?もしや付き合ってたりする?」



なぜか興奮気味の和葉ちゃん。

わ…っ、え?

どうしすれば…。

ひどく慌てる私を見兼ねたのか、口を開く紫杏くん。

ひどく自然に、腰に手を回されて…。

体が密着する。



「俺と花澄ちゃんは、友達以上で特別な関係かな。花澄ちゃんのお友達ちゃん、よろしくね」


ムスクの良い香りに、男の人らしい硬い体と当たって、心臓の音が聞こえちゃうんじゃないかってくらいドキドキしちゃう。


「いえいえ…とんでもない!どうぞ花澄をお願いします!
花澄、またこんど色々教えてね」



みんなの視線を背中に感じながら、エスコートされるがままに歩いていく。