私の言葉に、苦笑いする和葉ちゃん。



「あるよ。あんまり知られてないんだけどね。正門とは、真逆の方向に」

「真逆に…」



それは…、今から行くのは難しそう。

…にても、裏門なんてあったんだ。

初めて知った…!




「おーい、そこの女子。校門から離れろー。速やかに帰るんだ」



騒然としている中、校舎から走ってきた先生が、後ろから大きな声で投げかける。

みれば、私たちと同じように帰りたい生徒がチラホラいたみたいで。

通行止め状態だったのを見兼ねた先生が、来てくれたみたい。



「早く帰れ〜!他の生徒のことも考えろ〜」


先生が二度声かけをしてくれたところで、人垣が次第に減っていく。

これで帰れる…!

和葉ちゃんと目を合わせたところで。




「ああ、やっと花澄ちゃん出てきた。ほら、帰るよ」



さも当然のようにと出された手と投げかけられた言葉。

その人物をみて、しばらく呆然とする。

これは、どんな状況でしょうか…。



「ボーッとしてどうしたの。またお姫様抱っこしてほしくなっちゃった?」