「…花澄、これ…通れるかな」
「うーん…通れなさそう、かな」
やっとの思いで校舎から出ると、もう女子の壁ができている。
一目でも男の人を見ようと、校門目一杯、もっといえば、学校の敷地にも列ができる始末。
…初めてみる光景に、思わず唖然としてしまう。
「とりあえず一か八かで行ってみるか」
和葉ちゃんのその言葉を合図に、進んでいく。
進んでいけば行くほど、密集地帯となってきて…。
出るまでもう一歩、のところで。
「…これ以上は無理そうだね」
「そーだね。恐るべしイケメンの引力」
隙間なく並んでいる間を通ることはもちろん出来ず。
…落ち着くまで校舎に戻ろうかと後ろを振り向いたけれど、後ろも前と同様通れず。
行く先がない。
「正直、女子甘くみてたかも」
乾いた笑みを浮かべながら和葉ちゃんが呟いた。
…と、今度はしまったという顔をした。
「はぁー…。裏門の存在忘れてた…」
うらもん、裏門…って、え!?
「裏門ってあったの?」